※以下ネタバレあり※
※以下ネタバレあり※傑作!大いに観る価値あり!と最初に言ってしまいましょう。そこが一番大事だ!
現代のイギリスから話は始まります。
突如として高い致死率の伝染病がブリテン島北部に発生します。
ワクチンも治療薬も発見されず、蔓延を防ぐ為にイギリス政府は恐るべき対策に乗り出しました。
古代ローマ帝国のハドリアヌス帝の長城に沿った長大な隔壁を建造し、艦隊や機雷によって海上も封鎖。
危険なウイルスと、逃げ遅れた生存者、そしてブリテン島の北半分を完全に世界から隔離ししたのです。
ここまではなんとなく「伝染病パニックもの」風に楽しめます。
このウイルスに感染した患者が非常にグジョグジョでキモチ悪く、好感が持てますね。
そして25年後。
安全なはずのロンドンで、あの伝染病が再発した!
子供の頃、間一髪で北部イギリスを脱出したシンクレアは特殊部隊の隊員として成長していました。
主人公である彼女にある任務が下されます。
実は、公式には生存者は無いとされていた北部イギリスで、生きた人間の写真が撮影されていたのです。
生存者がいるという事は、治療薬の存在も期待されるが、北部が現在どのような状態になっているのか、情報はほとんどありません。
シンクレアは二台の装甲車による極秘潜入作戦を開始する!
伝染病の研究を行っていたケイン教授の家を捜索中、
謎の武装集団がシンクレア達を襲撃!
おっと、ここで『28日後…』みたいな伝染病ゾンビものか?と思わせます。
最初の数分間は画面が暗い事もあって確かにゾンビみたいに見えます。
しかし、その武装集団というのが…

一点の曇りも無い
モヒカン雑魚!そう、イギリス北部はあらゆる国家機能が麻痺した結果、リアル北斗の拳状態になっていたのだ!
映画は「世紀末アクション映画」に変身を遂げます!
「リアル北斗の拳」というと、南アフリカ共和国の事を思い出される方もいらっしゃるかもしれません。
南アフリカがこのように表現される事が時々インターネット上で見られます。
確かに非常に犯罪率などが高い地域ではありますが、ちょっといくらなんでもヒドイ表現ではないかな、と思っていました。
と、思っていたらこの『ドゥームズデイ』は
大半が南アフリカロケだそうです。
嘘から出た真というか、もはや言い訳不可能ですね。

まあ、「安くロケできる国」として知られて、色んな映画の撮影隊が入るようになれば経済も潤う、犯罪も少なくなる。
私はそうなることを祈っております。
さあモヒカン集団のボウガンや火炎瓶攻撃で簡単に装甲車は大破!(弱い・・・)
数名の隊員は逃げおおせましたが、シンクレアと部下一名はモヒカン族に捕らえられてしまいます。
シンクレアが捕らえられた独房には、何故か全身ラバーの
M男としか表現できない人物がおり、
なおかつ全く
誰もM男に触れないので非常に恐ろしくなります。
モヒカンリーダー・ソル(上の写真、右の人物)はシンクレアを利用して外界へ脱出しようと企てますが、
もう一人の部下には用は無い、と
人間バーベキューにしてしまいます。
食糧が極端に少ない今の北イギリスでは人間も食材。
リーダーのソルは王であり「シェフ」でもあるのです。
この人間丸焼けのシーンがよく出来ていて、これまた高得点ですね。『サイレントヒル』よりイイかも。
上手に焼けた後にスコーンと首を切り落とすと、綺麗なミディアムレアの切り口が現れるのが食欲が減退して◎です!
内臓がデロンと出たりするのとはまた違った、「人間の体がメチャクチャに変化しちゃった!」というキモチ悪さを味わえます。
そのシーンでも先程のM男が張り付けにされており、ああコイツも殺されちゃうのかな、と思っていたら
やはり
ただ単に緊縛されていただけでした。何なんだよオマエ!
その様子を見てシンクレアが「NOOOO!!」とか言うのかと思いきや別にそういうシーンも無く、
アホな見張りを騙して、隣の独房に捕らえられていた女性・カリーを連れ、モヒカン要塞を脱出します。
なんとかモヒカンの襲撃から逃げ切っていた生き残りの部下たちと合流し、
蒸気機関車で逃走する一行。なるほど、電気も石油も要らないからね。
カリー「実は私はケインの娘なのよ!ちなみにお兄ちゃんはさっきのソル!」
シンクレア「最低の一家だな!」
というような会話をかわしつつ、軍の備蓄倉庫をトンネル代わりに通り抜け、森林部へと到達した一行。
そこになんと、全身甲冑の騎士たちが現れる!
カリー「ソイツは父の部下の
処刑人・テラモンよ!」
ケイン博士は自らの信奉者たちと共に都市部を離れた古城に住み、
中世のような生活を送るコミューンを作っていたのです。
荒廃後の近未来世界に現れる、不釣合いな時代劇のような甲冑の軍団・・・
こ、これは
ドラゴン軍団じゃないですか!
ということはむしろこの映画は、北斗の拳というよりも
バイオレンスジャック!とすれば、彼等の王であるケイン博士(マルコム・マクダウェル)はスラムキングになるのでしょうか?
残念ながらケイン博士自身は鎧を着ていませんが、忠実な部下のテラモンは常に鎧姿の戦士です。
2人を
合わせればスラムキングになると言えるでしょう!
いや、テラモンにはツノが無く、また終始無言でロボっぽいのでむしろ
アイアンカイザーですね!
更によく考えればモヒカンリーダー・ソルはケイン博士の息子であり、彼は間違いなく
ズバ蛮です!
M男は
人犬だな!最後の最後まで全く話に関わって来ないけど!
ケイン博士「別に治療薬なんて無いわい、免疫を持ってたヤツが生き残ってるだけ!」
実も蓋も無いドンデン返しの後、シンクレアはアーマーナイト・テラモンとの決闘を強要されます。
決闘する理由は全く分かりませんでしたが、スラムキングなら仕方あるめえ。
しかもテラモンはシンクレアにサクッと殺されます。カイザーーー!格好だけだな!
そして仲間たちとカリー(=生存者=ワクチン保有者)を連れ、古城を脱出する一行。
これを最後にケイン博士は二度と出てきません!ひどい!
追っ手から逃げながら辿り着いた軍の倉庫で、シンクレアらは備蓄品に目をつけます。
倉庫内のコンテナから現れた自動車は、イギリスを代表するメーカー、
ベントレー!ヒーローは遅れて現れる-
そう、この世界の世紀末救世主、バイオレンスジャックにあたるのがこのベントレーです!
ベントレーで封鎖壁地帯へと走るシンクレアを追撃するのは、ソル率いるモヒカン軍団です!
さあ、マッドマックス(2以降)ですよ!
ソルは人骨で装飾されたジャガーを駆り、隣のバギーには
例のM男がハリツケになっています。なんでやねん。
このカーチェイスシーンが実に気合いが入っており、
丁寧に血をドバドバ噴き出して死んでいく雑魚が一人一人几帳面に映され、感動します。普通カーチェイスってのは車VS車ですが、突然ソルがベントレーの窓に頭から飛び込み、
車内でコメディ寸前のアクションが繰り広げられます!
最後はソルの仲間がバスで道を封鎖しますが、天井にソルを乗っけたままバスに突っ込むベントレー!
大爆発と共にポーンとソルの首が吹き飛び、カメラに激突!
フロントガラスすら割れないベントレー!ベントレー最強!戦いが終わった後
色々あり、シンクレアは故郷でもある
北イギリスで暮らしていく決意をかつての上司に告げます。
その瞬間、ベントレーの
サイドミラーがゴトリと落ちた-
ベントレーのサイドミラーという多大な犠牲の元に、今、イギリスの新しい歴史が始まろうとしている・・・ 完
恐ろしいハイテンションで駆け抜けるこの映画、CGらしいCGもほとんど使わず、
『マッドマックス』『ニューヨーク1997』といったジャンル映画への愛に満ち溢れています。
(シンクレアの右目が義眼なのは、スネーク・プリスケンを意識していますよね)
そこから一歩も進化していない様にも見えますが、
グロ描写が異常にシッカリしているのは明らかに大進歩です。
とにかく大傑作としか言いようがありません。
「おバカ」とか「B級」とかいった言葉で片付けていいのは女子と老人だけですよ!
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- 2009/10/05(月) 22:39:11|
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